世界は、これからどれぐらい”悪く”なっていくのか?
先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.519)で、斎藤幸平氏による書籍『人新世の「資本論」』について、Q&Aで紹介されていました。2020年に発売され大きな話題になりましたが、続編が今月発売されました。当時より世界情勢が悪化の一途をたどっている現在をもとに書かれています。
書籍『人新世の「黙示録」』は、50万部を超えるベストセラーとなった前著の衝撃的な続編です。前著で提唱された「脱成長コミュニズム」という希望に対し、本作ではさらに深刻化した地球環境と社会の現状を踏まえ、「すでに破局は始まっている」という極めて厳しい認識からスタートしています。
気候危機と資本主義の行き詰まりを前提に「これからの世界がどうなるか」「どう生き延びるか」を論じた思想書です。
主な内容
- 「欠乏経済」と「選民ファシズム」
- テック・エリートへの批判
- 「民主的計画」と「暗黒社会主義」
- 民主的計画:市場原理に任せるのではなく、市民が主体となって資源配分を決める計画経済の再構築。
- 暗黒社会主義:哲学者・國分功一郎氏が寄せた言葉でもありますが、絶望的な現状(暗黒)を直視した上で、あえて「計画経済」や「プロレタリア独裁」の現代的再定義を試みるラディカルな提案です。
- 前著との違い
- 『資本論』:どうすれば破局を避けられるか(脱成長による希望)。
- 『黙示録』:すでに起きている破局の中で、いかに野蛮状態に陥らずに生き延びるか。
気候崩壊が加速したことで、世界は資源や食料が決定的に不足する「欠乏経済」の時代に突入したと指摘しています。この不安の中で、限られた資源を奪い合い、弱者を切り捨てる「選民ファシズム」や戦争が蔓延する実態を鋭く分析しています。
シリコンバレーなどの富裕層(テック・エリート)が、自分たちだけが生き残るための「ノアの方舟」をテクノロジーで造ろうとしている動向を批判しています。著者は、彼らが進めるテクノ資本主義は格差を固定化させるだけであり、人類全体の救済にはならないと説いています。
破局に向かう行進を止めるための「処方箋」として、以下の概念を提示しています。
「資本主義がもたらした終末的な状況を認め、その中で他者を切り捨てない社会をどう再構築するか」を問う、非常に重厚で刺激的な一冊です。絶望的な状況の中での「現実的な希望」を提示するのが本書の核心です。気になりましたら、ぜひチェックしてみてください。
Link:
- 特集インタビュー 斎藤幸平×國分功一郎 「資本主義の外側」への招待状 | 斎藤幸平『人新世の「黙示録」』 | 青春と読書(集英社の読書情報誌)
目次
- はじめに 未来はファシズムだ!
- 第1章 気候崩壊による恒久欠乏経済
- 第2章 テクノ資本主義で進むファシズム
- 第3章 「世界の終わり」と加速主義
- 第4章 計画経済が全体主義を連れてくるのか
- 第5章 「ハイエクの呪縛」を解くために
- 第6章 デジタル社会主義は可能か
- 第7章 ハイエクの盲点と「緑の戦時経済」
- 第8章 晩期マルクスの独裁論
- 第9章 エコロジー独裁への道
- 第10章 暗黒社会主義という希望
- おわりに 名もなき者たちの「黙示録」
