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2026年6月13日土曜日

【関連本】ドル覇権が終わるとき インサイダーが見た国際金融「激動の70年」 ケネス・ロゴフ(著) Our Dollar, Your Problem


「すぐにドル崩壊が起こる」わけではない、しかし「ドルはまだ強い」は永遠ではない。

先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.781)で、円安や長期金利の状況から、今後の日本経済について解説がありました。

ハーバード大学教授であり元IMF(国際通貨基金)チーフエコノミストでもあるケネス・ロゴフ氏の著書「国家は破綻する」や、氏による”日本の過剰債務が「金利という時限爆弾」を抱えている”という警告などが紹介されていて、高城さんによる悲観的な日本の未来を解説しています。読んでいて気が重くなりますが、日本でじわじわと金利が上がってきている中、併せてケネス・ロゴフ氏の国際金融について解説した本がありますのでご紹介します。

ドル覇権が終わるとき インサイダーが見た国際金融「激動の70年」』(原題:Our Dollar, Your Problem)は、ハーバード大学教授であり元IMF(国際通貨基金)チーフエコノミストでもあるケネス・ロゴフ氏が、2025年に上梓した国際金融の歴史と未来予測に関する書籍です。

旧ソ連との冷戦期から現在に至るまでの約70年間の国際金融史を振り返りつつ、これまで絶対的な地位を誇ってきた「米ドルの基軸通貨としての覇権(パクス・ダラー)」が、今後10年以内に終焉を迎える可能性をリアルに警告した内容となっています。


主な内容

  1. インサイダーの視点で描く「激動の70年」
  2. 著者のロゴフ氏は、国際金融の最前線であるIMFのチーフエコノミストを務めた人物です。単なる理論的な解説にとどまらず、彼自身が国際金融の舞台裏で目撃してきた生々しいエピソードやインサイダー的な視点を交えながら、円やユーロ、そして台頭する人民元の挑戦を受けつつもドルが覇権を維持してきた歴史が描かれています。


  3. ドル覇権を揺るがす「米国内の要因」
  4. 本書の核心は、「ドルの地位を脅かすのは外部のライバル通貨ではなく、アメリカ自身の内政や政策である」という指摘です。

    • 膨張する政府債務:アカデミズムや政界で根強い「低金利は永遠に続く」「政府債務はフリーランチ(ただ飯)だ」という楽観論を痛烈に批判しています。
    • 中央銀行(FRB)の独立性の危機:政治的な圧力に屈しやすくなっている米連邦準備制度理事会(FRB)の現状に警鐘を鳴らしています。

  5. 「法外な特権」の喪失と世界的な危機への警告
  6. アメリカは自国通貨が基軸通貨であるため、どれだけ債務を増やしても許されるという「法外な特権」を享受してきました。しかし本書では、インフレ率の上昇をきっかけにこの特権が失われた時、世界的な債務危機、通貨危機、さらには金融危機が連鎖的に引き起こされるシナリオを提示しています。


  7. 現代的なテーマへの鋭い言及
  8. 既存の国際通貨システムだけでなく、現代の金融市場を揺るがしている以下の最新テーマについても、多数派の主張を批判しながら刺激的な示唆を与えています。

    • 暗号資産・デジタル通貨:ビットコインやステーブルコイン、各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)が既存のシステムに与える影響。
    • 日本の財政問題への示唆:金利上昇や積極財政がもたらすリスクなど、日本経済に対する言及も多く含まれており、日本の読者にとっても示唆に富む内容です。

国際金融の権威が、これからのグローバル経済の構造変化(地政学的リスクと通貨の未来)を大著(約500ページ)で本格的に論じた、非常にタイムリーで読み応えのある一冊です。気になりましたら、ぜひチェックしてみてください。


目次

  • 日本語版への序文
    • はじめに
    • 第1章 序論 基軸通貨の誕生

  • 第1部 ドル覇権への過去の挑戦者たち
    • 第2章 ソビエトという強敵
    • 第3章 日本と円
    • 第4章 欧州単一通貨

  • 第2部 現在の挑戦者、中国
    • 第5章 今回は違う
    • 第6章 朱鎔基の予測
    • 第7章 中国人民銀行
    • 第8章 危険の予兆
    • 第9章 高度成長の終わり
    • 第10章 人民元とドルのデカップリング

  • 第3部アメリカ以外の国の問題 ドルとの共存
    • 第11章 固定相場制の魔力
    • 第12章 ハイパーインフレ
    • 第13章 固定相場制はいつ賞味期限切れとなるか
    • 第14章 レバノンとアルゼンチンーー例外なのか、普通なのか?
    • 第15章 トーキョー・コンセンサス
    • 第16章 帰って来た固定相場

  • 第4部 代替通貨
    • 第17章 グローバル通貨
    • 第18章 暗号資産と貨幣の未来
    • 第19章 中央銀行デジタル通貨

  • 第5部 基軸通貨の優位性と不利益
    • 第20章 基軸通貨の優位性
    • 第21章 法外な特権、または代表なくして課税あり?
    • 第22章 ドル覇権に対処する世界の国々とアメリカの少しばかりの協力
    • 第23章 基軸通貨の不利益

  • 第6部 衰退に転じるドル覇権
    • 第24章 中央銀行の独立性 通貨覇権の砦
    • 第25章 債務大国 アメリカのアキレス腱
    • 第26章 永遠に続く低金利という誘惑
    • 第27章 ドルによる平和の終焉?