かつて日本に存在した、社会の枠の外側で生きた「漂泊民(定住せず移動して生きた人々)」について掘り下げた特集号です。
高城剛さんが主宰する「ノマドアカデミー」をはじめ、「ノマド」という用語は、すっかり一般用語として認識されるようになりました。移動しながら生きるライフスタイルは、日本でもしっかりと先人たちが残した歴史があります。
雑誌『スペクテイター(Spectator)』の55号「にっぽんの漂泊民」は、かつて日本各地を旅しながら生活していた「サンカ(山窩)」などの漂泊民にスポットを当てた、非常に濃密な特集号です。
主な内容
- 忘れ去られた「サンカ」の実像に迫る
かつて日本の山野で竹細工を作りながら移動生活を送っていた「サンカ」。彼らは戸籍を持たず、独自のネットワークと文化を持っていたとされています。この号では、そんな謎に包まれたサンカの歴史やライフスタイルを、膨大な資料と取材をもとに紐解いています。 - 「柳田國男」と「三角寛」の視点
漂泊民を語る上で欠かせない二人の人物の功罪についても深く掘り下げています。 - 柳田國男: 日本民俗学の父。初期の著作『遠野物語』などで漂泊の民に注目した視点。
- 三角寛(みすみ かん): 「サンカ小説」で一世を風靡した作家。彼の描いたサンカ像がいかにフィクションを含んでいたか、その実態との乖離についても鋭く検証しています。
- 「定住」への疑問と「自由」への憧憬
単なる歴史資料のまとめに留まらず、「なぜ人は一箇所に留まらなければならないのか?」という、現代社会における定住システムへの根源的な問いを投げかけています。 - 国家による管理(戸籍)の外側で生きた人々
- 自然のサイクルに合わせた移動型の暮らし
- 現代の「バンライフ」や「デジタルノマド」にも通じる、自由な生き方のヒント
- 豪華な執筆陣とビジュアル
『スペクテイター』らしい、圧倒的なテキスト量と洗練されたエディトリアルデザインが特徴です。 - 関係者へのインタビューや、当時の貴重な写真、地図などを多用
- 専門書のような難解さを避けつつ、週刊誌のような軽薄さもない、独自の「読み物」としての完成度
日本でもノマド的な生き方は、未来だけではなく、過去にもきちんとつながる文脈があることに新しい気付きを得られる内容になっています。気になりましたら、チェックしてみてください。
目次
- はじめに
- 漂白民って、なんだろう?
- 「サンカの民」ってなんだろう?
- 絵で見る漂白民
- 人はなぜ、サンカに自由を見るのか?
- 持ちつ持たれつ的、共に生きる存在だったサンカたちとの短かい交流
- マンガのなかの漂白民たち
- 「マレビト」ってなんだろう?
- 未来はノマド?移動する人々の過去・現在・未来
- サンカサークルをこうして立ち上げた
- 民俗学のABC
- 勝又進「木魂 こだま」
- まどのかずや「丘の向こう」
- 「ある日のサンカ」
