「会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。」
先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.758, 762, 764)などで、K-POP、K-Drama、K-映画の躍進について紹介されていました。韓国人アーティストの活躍は目を見張るものがあり、それはK-BOOK(韓国文学)の世界にも広がっています。今回は、2024年の本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれた本をご紹介します。
ファン・ボルム氏による韓国のベストセラー小説『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』は、都会の喧騒から離れた静かな住宅街にある小さな書店を舞台にした、「心の休息と再起」を描いた物語です。読んでいるだけでコーヒーの香りが漂ってくるような、温かく穏やかな雰囲気が特徴の作品です。
著者のファン・ボルム氏は、大学でコンピュータ工学を学び、LG電子でソフトウェアエンジニアとして働いていました。しかし、会社員生活の中で「書くこと」への情熱が捨てきれず、仕事を辞めて執筆活動に専念する道を選びます。
主な内容
- あらすじ
- 主人公のヨンジュは、高学歴で仕事も結婚生活も順調、いわゆる「成功した人生」を歩んでいました。しかし、ある日突然、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥り、すべてを投げ出してしまいます。
- 彼女が心機一転、自分の居場所として選んだのが、住宅街の路地裏にある「ヒュナム洞書店」。店主として働きながら、本を通じて自分自身を見つめ直し、少しずつ元気を取り戻していく過程が描かれます。
- 魅力的な登場人物たち
書店には、ヨンジュと同じように人生に迷いや生きづらさを抱えた人々が集まります。 - ミンジュン:無気力な自分を変えたいと願うアルバイトの青年。
- 常連客たち:自分の夢と現実の間で揺れる人々や、人間関係に疲れた人々。
- この本のキーワード
- 「休んでも大丈夫」という肯定感:
効率や成功を追い求める現代社会に対し、「立ち止まること」の大切さを教えてくれます。 - 本の力:
物語の中に実在する本や作家がいくつも登場し、読書が持つ癒やしの力が丁寧に描写されています。 - 美味しいコーヒー:
書店に併設されたカフェで淹れられるコーヒーが、物語の重要なエッセンスになっています。
彼らが本を介して交流し、対話する中で、それぞれの「自分にとっての幸せ」を見つけていく姿は、多くの読者の共感を呼んでいます。
「人生は、何度でもやり直せる。ただし、ゆっくりと自分のペースで。」そんなメッセージが込められた、お守りのような一冊です。気になりましたら、ぜひチェックしてみてください。
「この小説にはわたしの好きなものが詰まっています。
本、町の本屋さん、本で読んだ良いフレーズ、
思考、省察、思いやりと親切、
互いの距離化を保てる人同士の友情とゆるやかな連帯、
成長、率直で深みのある対話、そして、いい人たち」
著者
