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2025年11月29日土曜日

【人生は移動距離で決まるのか?】【関連本】移動と階級 伊藤将人(著)


「移動が成功をもたらす」は本当なのか?

高城剛さんの著書やメールマガジンなどで発信されている格言の一つに「移動距離とアイデアは比例する」があります。この格言は多くの人に影響を与え、年々理解が深まり、現代においてはますます重要な要素になってきています。

これまでは「移動できるメリット」について多く語られてきましたが、反対に「移動できないデメリットや社会課題」に焦点を当てた本がありますのでご紹介します。

書籍『移動と階級』は、社会学者の伊藤将人氏が著した本で、現代社会における「移動格差(モビリティ・ギャップ)」と、それが生み出す階級・分断・不平等の実態に迫る社会分析の書です。


主なテーマと内容

この本は、人々が移動する能力を「資本」と見立て、その偏在が新たな階層線を生み出していると論じています。

  • 移動格差の存在:
    • この世界には、「移動できる人」と「移動できない人」の間に、移動の量・機会・経験をめぐる明確な隔たり、すなわち「移動格差」が存在すると指摘します。
    • 独自調査データに基づき、日本人の約半数弱が自身を「自由に移動できない人間」だと思っている、といった実態を明らかにしています。
  • 移動資本:
    • 自家用車や海外渡航など、移動手段を使いこなすには金銭(経済力)・技能(語学力など)・ネットワーク(人脈)といった3つの資源が必要であり、これらの「移動資本」の格差が、経済力やジェンダー規範と結びつき、移動の機会を分岐させていると分析します。
  • 格差の再生産:
    • 移動資本の格差により、富裕層はさらに成功し、移動困難層は選択肢を奪われるという格差再生産のスパイラルが強まっている構造を描き出します。
  • 多様な移動の考察:
    • 通勤・通学といった日常生活の移動から、買い物、旅行、引っ越し、さらには移民・難民や気候危機による移住といった地球規模の問題まで、「移動」を軸に現代社会の分断・格差・不平等を考察します。
    • 特に、ジェンダーによる移動の不平等や、テレワークが「動けない者」を覆い隠すといった鋭い洞察も含まれています。
  • 提言:
    • 格差解消に向けた「5つの方策」が提案されています。


この本は「移動が成功をもたらす」という考え方が、すべての人に開かれているわけではないという視点から、移動の自由が単なる地理的な制約ではなく、経済・社会格差と深く結びついている現代の構造を深く考えさせる一冊です。


目次

  • はじめに
  • 第1章 移動とは何か?
  • 第2章 知られざる「移動格差」の実態
    • 1 移動手段の利用経験をめぐる格差
    • 2 観光旅行・海外渡航をめぐる格差
    • 3 地域を越える移動の格差
    • 4 移動をめぐる人々の認識とその他の実態
    • 5 近年の社会変動(物価高騰)と移動格差
  • 第3章 移動をめぐる「7つの論点」
    • 1 コロナ禍は、移動にどんな影響を与えたのか?
    • 2 「移動が成功をもたらす」は、本当か?
    • 3 移動がもたらす希望と貧困とは?
    • 4 移動の権利と自由は、なぜ重要なのか?
    • 5 政策はいかにして、個人の移動に介入・誘導するのか?
    • 6 移動は誰のものなのか? ジェンダーから紐解く不平等性
    • 7 移動が気候変動に、気候変動が移動に与える影響とは?
  • 第4章 格差解消に向けた「5つの観点と方策」
    • 1 企業や行政による、移動機会の格差解消支援
    • 2 共助による移動をめぐる問題の解決
    • 3 モビリティ・ジャスティスを実装する
    • 4 調査を積み重ね、データを蓄積する
    • 5 「ジェンダー主流化」を促進する
  • 「移動」をもっと考えるためのブックリスト
  • おわりに