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2025年12月20日土曜日

【関連本】【中国】ほんとうの中国 日本人が知らない思考と行動原理 (講談社現代新書 2784) 近藤大介(著)


日本人と中国人の「OS(思考の基本原理)」の違いを解説した本です。

先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.756)で、「日本人にとって中国人が脅威になることは考えられるか?」についてのQ&Aがありました。近年の政治・経済や移民の情勢から、将来に不安を感じることが少なくありません。

そこで、巨大な隣国の実像と隣人の素顔を描いた、日本屈指の中国ウォッチャーによる本をご紹介します。

近藤大介氏による著書『ほんとうの中国 日本人が知らない思考と行動原理』は、長年中国をウォッチし続けてきたジャーナリストの視点から、日本人には理解しがたい「中国人の本音と行動の仕組み」を解き明かした一冊です。

「なぜ中国人はあのように振る舞うのか?」という疑問に対し、文化・地理・歴史・宗教といった多角的な視点から、その根底にある「OS(基本原理)」を解説しています。


本書の主な内容とポイント

  1. 本書の核となるテーマ:大陸の「生存戦略」
    日本人の「島国的な常識」を一度捨てなければ中国は理解できないと説いています。本書で強調されている主な思考・行動原理は以下の通りです。
    • 「超」弱肉強食と「一人勝ち」社会
      勝者がすべてを総取りし、敗者には同情が不要とされる過酷な競争社会のリアル。
    • 性悪説に基づく「不信」の文化
      「騙す方が悪いのではなく、騙される方が悪い」という感覚や、他者をまず疑うリスク管理能力の高さ。
    • 「カネ」は命と同等、あるいはそれ以上
      日本的な「愛社精神」や「絆」よりも、即物的な利益や現金を最優先する価値観。
    • 日常生活は「闘争」の連続
      常に他者と競い合い、自分の権利を主張し続けなければ生き残れないという大陸特有のバイタリティ。
  2. 本書で解説される「日本人との違い」
    日本人と中国人の思考パターンの対比が分かりやすく整理されています。
  3. 項目 日本人の思考(島国型) 中国人の思考(大陸型)
    人間観 基本は性善説(人を信じる) 基本は性悪説(まず疑う)
    組織への意識 愛社精神、和を尊ぶ 個人の利益優先、トップダウン
    リスク感覚 平和慣れ、安全への過信 常に危機感、逃げ足の速さ
    正義の基準 ルールや法が絶対 「メンツ」や「実利」が優先
    人間関係 浅く広い、適度な距離 「身内」か「敵(部外者)」かの二択
  4. 目次に見る主なトピック
    抽象的な論評だけでなく、具体的な社会情勢やZ世代の動向まで網羅しています。
    • 第1章:中国の骨格(地理的要因や「大きいもの」への憧れ)
    • 第2章:孤独で不安な中国人(ハイリスク社会ゆえの強烈な「我」)
    • 第3章:残酷物語(即断即決のトップダウン、逃げるDNA)
    • 第4章:何を信じているのか(「カネ教徒」としての側面、変形した仏教と道教)
    • 第5章:国家の論理(皇帝制度と中国式民主、中華思想)
    • 第6章:多様性(南北の気質の違い、Z世代の現実、日本への「逃避」)


著者の近藤大介氏は、講談社北京の副社長を歴任するなど現地での経験が非常に豊富で、「敵でも味方でもなく、まずはありのままを理解する」というスタンスで書かれているのが特徴です。中国とビジネスをする方、ニュースの背景を知りたい方、「大陸に住む」ということが人間にどのような性格形成を促すのかといった文化人類学に興味がある方におすすめの一冊です。


目次

  • 第一章 中国の「骨格」である基本原理
  • 第二章 孤独で寂しく、不安な中国人
  • 第三章 負け犬に同情は不要 残酷ものがたり
  • 第四章 中国人は何を信じているのか
  • 第五章 中国を動かす「国家の論理」
  • 第六章 中国人はひとつではない