現在まで約80年間「軍隊なし」で国家を維持してきた秘訣とは?
先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.770)で、コスタリカについて紹介されていました。1948年に軍隊を廃止し、現在は電力の99パーセント以上を再生可能エネルギーで賄っている世界でも異色の国です。そのコスタリカを長年研究している著者による本がありますのでご紹介します。
丸腰国家―軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略―』は、1948年に軍隊を廃止し、憲法で常設軍を禁じている中米の国コスタリカの仕組みとその実態を詳しく解説した一冊です。
単なる「平和への理想」を語る本ではなく、軍隊を持たないという選択がどのような政治的リアリズムに基づいているのかを掘り下げています。
主な内容
- 憲法による「非武装」の確立
- コスタリカの「平和戦略」の実態
- 警察組織の活用:軍隊はないものの、高度な訓練を受けた警察部隊が存在し、治安維持や国境警備を担っています。
- 外交による安全保障:国際法を徹底的に重視し、紛争が起きた際は武力ではなく、国際司法裁判所や周辺諸国との外交ルートを通じて解決を図る「外交の力」を武器にしています。
- 軍事費を教育と医療へ
- 社会福祉の充実:軍隊の維持費をすべて教育費や国民健康保険制度に投入した結果、中米諸国の中でも高い識字率と平均寿命、そして安定した中産階級を実現してきました。
- 環境国家への転換:自然保護にも予算を割き、エコツーリズムの先進国としての地位を築いた背景も描かれています。
- 本のスタンスと特徴
- 批判的視点も内包:単にコスタリカを「地上の楽園」として礼賛するだけでなく、麻薬密輸問題やアメリカとの関係といった「軍隊を持たないゆえの苦悩」についても触れられています。
- 日本への示唆:日本国憲法第9条を持つ日本人が、どのように「平和」を具体的に運用していくべきかという点において、一つの比較対象(モデルケース)として提示されています。
コスタリカが軍隊を廃止したのは、1948年の内戦を経て当時の指導者ホセ・フィゲーレス・フェレールが「軍事クーデターの芽を摘むため」という非常に現実的な政治判断を下したことがきっかけです。本書では、この歴史的背景と、憲法12条で軍隊保持を禁じている法的根拠が解説されています。
「丸腰」と言いつつも、コスタリカは何もしていないわけではありません。
本書が特に強調しているのが、「軍事費をゼロにすることで生まれた予算をどこへ回したか」という点です。
「平和はタダではない、しかし武器を使わずに維持する方法はある」ということを、コスタリカの社会システムを通じて証明しようとする一冊です。気になりましたら、ぜひチェックしてみてください。
目次
- まえがき
- 第1部「丸腰国家」コスタリカの真実
- 第1章 コスタリカはどうやって軍隊をなくしたのか?
- 第2章 軍隊がなくても大丈夫なのか?
- 第3章 コスタリカには本当に軍隊がないのか?
- 第4章 コスタリカは軍隊を持てるのか?
- 第2部「丸腰国家」をつくる人たち
- 第5章 コスタリカ人とはいかなる人たちか?
- 第6章 コスタリカ人が考える平和とは何か?
- 第7章 コスタリカは「平和のパラダイス」か?
- 第8章 還暦を迎えた「軍隊をすてた国」
- あとがき
