世界は少子高齢化に向かっている。
先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.736)で、確実な未来を知る指標として「人口動態」が紹介されていました。高城さんは長年にわたり、少子高齢化による日本の厳しい将来に警鐘を鳴らしてきました。日本や世界の実例やデータを交えながら、確実に来る未来に向けて考えるきっかけとなる一冊をご紹介します。
書籍『人口と世界』は、日本経済新聞社が編纂し刊行された本です。日本経済新聞の1面で連載された特集記事「人口と世界」に大幅な加筆・修正を加えて書籍化したもので、「人口減少」という人類史上類を見ない転換点をどう生き抜くかを問い直す内容となっています。
主な内容と特徴
- 「人口増=成長」という神話の終焉
これまで世界経済は「人口が増えることで経済が成長する」というモデルに依存してきましたが、本書ではその前提が崩れつつある現状を指摘しています。2064年に世界人口がピーク(約97億人)を迎え、その後は減少に転じると予測される中、「成長なきあとの社会」をどう維持するかが大きなテーマです。 - 世界各地のリアルな現状
日本だけでなく、中国、韓国、欧州、東南アジアなど、世界各地で起きている少子高齢化や労働力不足の現場を多角的に取材しています。 - 労働力の争奪戦:働き手が減る中で、国や企業がどのように人材を確保しようとしているか。
- 社会保障のゆがみ:高齢化が進む国々で、年金や医療制度が直面している危機。
- 「逆転の発想」と解決への糸口
単に危機を煽るだけでなく、独自の視点や政策で問題に立ち向かっている事例も紹介されています。 - 移民・外国人材の活用: 労働力不足を補うための各国の苦悩と試み。
- テクノロジーによる代替:AIやロボットが人口減少社会をどう救うのか。
- 価値観の変容:「数」の拡大を追わない、新しい豊かさの定義。
章構成の概要
本書は全6章で構成されており、多角的な視点から人口問題に切り込んでいます。- 第1章(成長神話の先に)
人口ボーナスの終了と経済モデルの変化 - 第2章(新常識の足音)
労働市場の激変と「選ばれる国」への競争 - 第3章(衰退が招く危機)
インフラ維持の困難や地方の消滅リスク - 第4章(下り坂にあらがう)
人口減を克服しようとする世界の先進事例 - 第5章(わたしの選択)
結婚や出産、キャリアに関する個人の意識変化 - 第6章(逆転の発想)
縮小を前提とした新しい社会システムの提案
かつての優等生だったルクセンブルクの衰退や、世界で単身世帯(おひとりさま)が3割増、「まず結婚」が招く少子化、高度人材獲得の選択肢に複数国籍を容認する、などの興味深いトピックがあります。
世界経済の最新トレンドを人口動態から把握したい方や、これからの日本が進むべき道について、データに基づいた知見を得たい方におすすめです。「人口」というマクロな視点から、私たちの生活や働き方がどう変わっていくのかを俯瞰できる一冊です。
目次
- 1章 成長神話の先に
- 人類史初の人口減時代が迫る
- 労働輸出国の若者が減り始めた
- 「出生率1.5」の落とし穴
- 豊かになる前に進む高齢化
- 人口減で国力の方程式が一変
- 停滞とデフレ、「日本病」恐れる世界
- 「生産性」が国の未来を決める
- 2章 新常識の足音
- 「移民なき時代」へ人材争奪戦
- 公的年金に限界、共助から自助へ
- AIとヒトが共生 脅威論を超えて
- 「おひとりさま」が家族の標準に
- 財政政策は成長促してこそ
- 第章
- 3章 衰退が招く危機
- 国家存亡、侵攻の野心に火
- 縮む中国、強権も及ばない
- 4章 下り坂にあらがう
- スウェーデン、人口復活の秘密
- カナダ、コロナ下でも移民40万人
- 韓国、出生率0.81の袋小路
- シンガポール、人口より生産性優先
- 5章 わたしの選択
- 「まず結婚」が招く少子化
- 出産で収入6割減「母の罰」
- 増える「一時滞在型」移民
- 企業の育児支援が出生率を左右
- 6章 逆転の発想
- 人口首位インドを待つ「成長のわな」
- ロボット密度を倍増 経済維持へ
- 出生率3.0の椅子耐える、生殖医療の推進力
- 複数国籍が高度人材獲得の選択肢に
- 「子どもは負担」覆す日本へ
- 特集 座談会 ChatGPTと考える少子化ニッポンの成長の道
