複雑な世界の現実を単純化しないで、「高い解像度」で捉えるための入門書です。
先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.754, 756)で、「ドゥルーズ=ガタリ」が紹介されていました。「千のプラトー」などの書籍は難解で、予備知識がないと理解するのが非常に困難ですが、第一線のプロが初心者のために分かりやすく解説した本がありますのでご紹介します。
千葉雅也氏の著書『現代思想入門』は、難解とされる「フランス現代思想(ポスト構造主義)」を、驚くほど平易かつ実践的な視点で解きほぐしたベストセラーの入門書です。
本書の最大の特徴は、単なる哲学史の解説にとどまらず、「現代の息苦しい社会をどう生き抜くか」という切実な問題に哲学を結びつけている点にあります。
著者の千葉雅也氏は、ドゥルーズ研究の旗手であり、著書「動きすぎてはいけない。」では、それまでのドゥルーズ解釈を一変させ、日本を代表する若手哲学者としての地位を確立しました。
主な内容
- 本書のメインテーマ: 「秩序」と「逸脱」
著者は現代思想を一貫して「秩序(きっちりすること)」から「逸脱(ズレること)」を肯定する思想として捉え直します。 - 現代社会はコンプライアンスや効率化によって「正解」が固定されがちですが、そこから漏れ出してしまう「ノイズ」や「無意味なもの」にこそ人間の豊かさがある、と説きます。
- 主要な哲学者とキーワード
ポスト構造主義の「三つの柱」を中心に、非常に明快な図式で解説されています。 - デリダ(概念の脱構築):
「白か黒か」という二項対立を疑い、その間の「グレーゾーン」を重視する。 - ドゥルーズ(存在の脱構築):
固定された「自分」ではなく、変化し続ける「プロセス」や「差異」を肯定する。 - フーコー(社会の脱構築):
権力は上から来るだけでなく、自分たち同士の「相互監視」で作られていることを暴く。 - 「入門のための入門」としての工夫
- 専門用語の「翻訳」:
難しい用語を日常的な感覚に引き寄せて説明しています(例:ドゥルーズの思想を「ライフハック」のように捉えるなど)。 - 付録「現代思想の読み方」:
哲学書を読む際に「わからない部分は飛ばしていい」「薄く塗り重ねるように読む」といった、プロならではの読書術が紹介されています。 - なぜこの本が読まれているのか?
- 本書が多くの人に支持された理由は、現代思想を学ぶメリットを「世界の解像度を上げること」だと定義したからです。物事を単純化(ステレオタイプ化)せずに捉える思考の体力をつけることで、同調圧力や「こうあるべき」という固定観念から自分を救い出すための「武器」として、哲学を提示しています。
「哲学には興味があるけれど、難しそうで手が出せなかった」という方や、「今の社会の空気感にどこか生きづらさを感じている」という方、または高城さんが大きな影響を受けたドゥルーズ=ガタリについて理解を深めたい方に、特におすすめの一冊です。
目次
- はじめに 今なぜ現代思想か
- 第一章 デリダ 概念の脱構築
- 第二章 ドゥルーズ 存在の脱構築
- 第三章 フーコー 社会の脱構築
- ここまでのまとめ
- 第四章 現代思想の源流 ニーチェ、フロイト、マルクス
- 第五章 精神分析と現代思想 ラカン、ルジャンドル
- 第六章 現代思想のつくり方
- 第七章 ポスト・ポスト構造主義
- 付録 現代思想の読み方
- おわりに 秩序と逸脱
