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2026年6月20日土曜日

【関連本】【資産防衛】インフレ・円安・バラマキ・国富流出 (日経プレミアシリーズ) 佐々木融(著)


日本の今後のリスクと資産防衛策を考えるための本です。

先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.780781)をはじめ、高城さんはこれまで書籍を含め、日本円や日本国一つにすべてを集約することのリスクについて、長年にわたり早くから警鐘を鳴らしてきました。実際に社会情勢は予想通りになってきており、現在では多くの人が、分散すること、サバイバル能力を磨くことへの意識が高まってきています。

今回ご紹介する本は、高城さんの発信している情報と重複する部分もありますが、金融のプロフェッショナルの視点による、日本の円安・インフレ・財政問題を解説した経済書です。

佐々木融氏(ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト、元日本銀行出身)による著書『インフレ・円安・バラマキ・国富流出(日経プレミアシリーズ)』は、現在の日本が直面している「止まらない円安」と「物価上昇(インフレ)」の根本原因を、分かりやすく、かつ鋭く紐解いた一冊です。

これまでの「待っていればいつか円高に戻る」という過去の経験則はもはや通用しないとし、日本経済の構造的な歪みをズバリ指摘しています。


本書の主なポイント

本書の核心は、「現在の円安・インフレは一時的な景気循環ではなく、日本経済の構造変化によるもの」という点にあります。著者は「円という紙切れは今、信用を失い、取り戻せなくなる瀬戸際に立っている」と強い危機感を示しています。

  • マイナスの実質金利:
    日銀が利上げを行っても、インフレ率(物価上昇率)に追いついていないため、実質金利は大幅なマイナスのままです。日本円で持っていても目減りし続けるため、資金がドルなどに逃げていく構造が続いています。

  • バラマキ政策と格差の拡大:
    政府が国債を発行して手に入れたお金を、補助金などの名目で無計画にばらまく政策を批判しています。これがかえってインフレを助長させ、結果的に低所得層をさらに苦しめ、経済格差を広げる原因になっていると指摘します。

  • 止まらない国富の流出:
    かつてのような「円安になれば輸出が増えて儲かる」という構図は崩壊しています。主要な工場はすでに海外へ移転しており、現在はデジタルサービス(米国の大手IT企業など)への支払い(デジタル赤字)や食料・エネルギーの輸入によって、むしろ貿易赤字や資金流出が常態化しています。

  • 「数字上のマジック」への警告:
    株価の上昇や税収の増加がニュースになりますが、これは「通貨の価値(円)が下がったことで、見た目の名目値が膨らんでいるだけ」という、インフレ環境特有の現象であると看破しています。


私たちが取るべき防衛策

デフレの時代(失われた30年)であれば、物価が下がるため「ひたすら現金を貯め込むこと」が正解でした。しかし、現在のインフレ環境下では、現預金だけに依存していると資産価値が実質的に目減りし続けます。

本書では、この「見えない損失」から身を守るために、株式や実物資産(不動産や金など)を適切に組み合わせた資産配分(アセットアロケーション)へシフトしていく必要性を説いています。


為替や国際収支の複雑なロジックを平易な言葉で説明しているため、これからの時代を生き抜くための「資産防衛の羅針盤」として非常に評価の高い一冊です。


目次

  1. 第一章 お金、投資、マーケットのそもそも
    • 「お金」ってそもそもなに?
    • 投資は、お金を増やすためだけにするものではない
    • マーケットを見る目を養うための勘所

  2. 第二章 なぜ円はこれほどまでに弱くなったのか
    • 日本が「割安な国」になった背景
    • 「円安」は日本の問題か、円の問題か
    • 歴史的な超円安の背景となっている2つの要因

  3. 第三章 日本政府の借金はなにが問題なのか
    • 国債は本当に問題なのか | 発行残高の幻想と現実
    • 国債依存の副作用 | 金利・通貨に滲み出る歪み

  4. 第四章 マイナスの実質金利から抜け出せない円
    • なぜ日本はマイナスの実質金利から抜け出せないのか
    • 構造的インフレと社会への影響 | なぜ2億~3億のマンションが売れるのか
    • 実質金利マイナスがもたらすお金の大移動
    • インフレ下での常識は、今までの非常識

  5. 第五章 止められない日本からの資金流出
    • なぜ経常黒字でも円高にならないのか
    • 貿易黒字国から貿易赤字国への変貌 - 4つの要因
    • 円安は誰にとってプラスなのか - 円安で喜ぶ人と苦しむ人

  6. 第六章 失われた30年はなぜ失われたのか——取り戻すために必要なこと
    • 日本の失われた30年 - スイスとイタリアとの比較
    • 失われた30年を取り戻すために①:昭和の時代の日本型雇用システムから脱却しよう
    • 失われた30年を取り戻すために②:日本に投資・生産を取り戻そう
    • 失われた30年を取り戻すために③:現実を直視し、構造改革を妨げる要因を取り除こう
    • 失われた30年を取り戻すために④:国際感覚を失わず、多様性を受け入れよう