あるべき理想国家には何が必要か?
先日の高城剛さんのメールマガジン(Vol.717)で、リーダーについてのQ&Aにおいて哲学者プラトンが紹介されていました。「哲人的リーダー」について述べられている、プラトンが考える「あるべき理想国家の姿」を描いた古典哲学の金字塔をご紹介します。
プラトン(Plato)は古代ギリシャを代表する哲学者です。師であるソクラテスの思想を受け継ぎ、弟子であるアリストテレスを育てました。また、「アカデメイア」という学園を設立し、多くの学者を育成しました。この学園は「アカデミック(academic)」の語源にもなっています。
本書『国家』は、主に「正義とは何か?」という根本的な問いを探求する目的で書かれた本です。この問いを解明するために、人間や国家における正義の本質を明らかにしようとしています。師ソクラテスを登場人物とした「対話篇」の形式をとっています。
主に次のテーマで構成されています:
- 正義の本質
国家における「正義」は、個人の魂における「正義」を拡大したもの - 理想国家(三階級構造)
それぞれが役割に専念することで調和のとれた国家が実現される - 統治者:知恵を持つ哲人王が統治を担う
- 守護者:勇気を持つ軍人階級が国家を防衛する
- 生産者:節制を持つ市民が、食料や物資を生産する
- 哲人政治
理想国家の統治は、哲学者が行うべきだとする思想。真理や善のイデアを認識できるため、感情や利害に左右されず、合理的な統治が可能 - イデア論
「善のイデア」を最高の原理とし、哲人王はそれを直観することで正しい政治を行える - 国家の衰退の過程
理想国家(哲人政治)から堕落していく過程
哲人政治→名誉政治(戦士の支配)→寡頭政治(富裕層の支配)→民主制(欲望の支配)→僭主制(独裁者の支配)
『国家』は今から約2400年前に書かれた本ですが、本書の内容は、人間の本質的な部分は何ら変わっていないという驚きと落胆を禁じ得ません。
上下巻あり、一度読んだだけでは理解しきれない難解に感じる部分がありますが、時間をかけて何度も読み返したい本です。
目次
- 上
- 第一巻
- 第二巻
- 第三巻
- 第四巻
- 第五巻
- 下
- 第六巻
- 第七巻
- 第八巻
- 第九巻
- 第一〇巻